ジョギングおじさん
昨年の冬の終わり頃から自宅の近くで時々見かける、ジョギングに励むおじさん。
でっぷりとしたお腹を突き出して、トコトコと走っているのです。
お医者さんから「適度な運動を」とでも言われたのかもしれません、何せ嫌々感がにじみ出ている…。
そして春、やはりお腹を突き出してトコトコと。
イヤホンで何かを聞きながら走る、という技を習得したようですが、相変わらず表情は険しく如何せん苦痛そう。
夏。
今年の猛暑を思い出していただきたい。
焼け付くような太陽の下を汗だくで、トコトコ。
熱中症になりはしないか、きちんと水分は取っているのかと気が気ではありませんでした。
よく続いているなと。
しかし、変わらぬでっぷりとしたお腹。
もしかしたらこのおじさんは、ひたむきに走るのと同時に、絶対に痩せないようにそれ以上の努力をしているのではないかと思わせるほどの、スタイルキープ。
で、先日。秋。
久々に道ですれ違った、ジョギングおじさん。
や、や、痩せてるー!!お腹が引っ込んでる!
走り方は、やっぱりトコトコだったけど、ふくらはぎは、筋肉で覆われたランナーのそれで。
引き返して、背中を叩いて褒めたたえたい気分でした。
痩せても決して走るスピードを早めたりしないおじさん。調子に乗らない冷静さに大人の余裕を感じる。かっこいい。
ロッカーが大きな声で「未来を信じて」などと歌うのも、それは心に響くかもしれませんが、おじさんのすっきりとした後ろ姿にも、メッセージがあるのだと。
感動しました。
遠ざかるおじさんの背中を見つめながら、心の中で敬礼をし、おじさんに何やら感化されそうと思った今日この頃。
▼▼ このコバナシを書いた人 ▼▼Fujii